キャッチーなタイトルに負けて、「はじめに」や「あとがき」を読まないでポンポンと購入してしまう自分に反省します。そんな内容の本でした笑。でも、読むからにはそこから一つでも吸収したいのが人の性。読んでいて感じたことをまとめていきます。40文字X14行X190ページ。
全体を通して
全体を通してこちらの本には、「例えば」というような挿話がいくつか見られます。私が理系出身ということもあるのでしょうか、どれも著者の独り語り、もしくはドラマの一つのシーンのように感じてしまいました。幸いと言うのか、私の周りにはこちらの本で紹介されているような話し方をされる人がいなかったので、ほとんどイメージできませんでした。なので、相手にイメージをさせるのは難しいのだなと、改めて思った次第です。
それぞれの内容について
接続詞について(P.70)
こちらはもしかしたら意見の分かれるところかもしれませんが、こちらの本では適切に接続詞を使うことで話が伝わりやすくなります、と書かれています。確かに接続詞は重要で、話し手や書き手の伝えたい事柄が次にどのような展開になるのかを、前もって受け手に準備してもらうためにはその選択が大切だと思います。しかしながら、基本的には順序良く話した場合には接続詞がなくても伝わるのではないか、と私は思うのです。このように書きながら、こちらの文章では「確かに○○、しかしながら××。」という形で接続詞を使っています。これはあくまでも話の型であり、方として接続詞は使いますが、接続詞によって話をいろいろな方向にもっていって良いというものではないというのが、私の認識です。いかがでしょうか…。
相手の感覚を否定すること(P.92)
こちらの本には「最悪のシナリオを想定しろ」と書かれています。では、最悪って何ですか?というところに本当に正解があるのでしょうか。あるいは、お客様からの質問がもっと素朴なものである可能性はないのでしょうか。私はSEをしていますが、お客様先に行って私の仕事内容を直接話しても理解していただけるとは思えません。なので、核心ではなく、社会への影響や、お客様自身に使っていただく想定をして話をします。イメージが伝わればよいのです。もちろん係争になれば双方の取り決めや法律で客観的に判断されるわけです。それこそ軽率に、お客様の感覚で、「問題があるのでは?」と言われたときに、自分たちの技術担当者の言葉を借りて「こちらは業界でも最高クラスです」と言ったところで、相手に何が伝わるのでしょうか、疑問でなりません。言い訳はしない、真摯に受け止めるというのが、エンジニアかなと思います。
開かれた質問と閉じられた質問について(P.120)
商談であれば確かに話の主導権を握りたいでしょうが、話しをごり押して誰が得するのでしょうか?商談をまとめ、売り上げをあげたときは褒められるのかもしれませんが、実際に手を動かして面倒を見るエンジニアにとっては、適当にまとめてこられた仕事程うなだれるものはないでしょう。そのため、次の主張は受け入れがたいのです。
思いつくままの相手の発言を封じることが重要になる。キーワードは「いかがでしょうか」ではなく、具体的に「ご質問は?」と問うことだ。できるかぎり、「はい」「いいえ」で答えが返ってくるような言い方で合意を求めよう。
また、「ご質問は?」は「はい」「いいえ」では答えが返ってきません。こちらは開かれた質問です。「○○はどうでしょうか?」「例えばこういう場合はどうなりますか?」など、いくらでも「はい」「いいえ」でない質問が飛んでくることでしょう。私なら、いかがでしょうかの前に、自分が話をしていて、相手が着いてこれていない話題について、「こちらの話題については、想定されておりますでしょうか?」など理解を促すと思います。
お疲れさまでした?!(P.125)
お客様にお越しいただいて、「ご苦労様でした」は目上の人に使わない、「お疲れさまでした」と言いましょう!?いやいや、「ありがとうございました」が適切でしょう。あるいは、「ご足労おかけしました」が敬語としては正しいでしょう。ここまでくると間違い探し感覚ですね。
コストダウンの話(P.180)
高々、新書サイズで見開きの話なので、状況は説明できないのかもしれませんが、いきなりコストを5%抑えさせてほしいなんて取引先に相談しに行くってどういうことだ、と思ってしまいますね。そんな人とは取引したくない。もちろん利益を乗せての額から、少し額を抑えてほしいということなんでしょうが、それでも同じものを安く売ってほしいなんて頼むこと自体、私の感覚では嫌ですね。なんてこと言いながら、スーパーでは安いものを選んでしまうのですが(笑)。もちろん長期的に見て、安くしてでも細く長く利益を生むことも大事なのだと思いますが、例えば安くするために、これまでのコストを下げるための施策を考えて、実際にコストを減少させられたとします。であれば、その行為による利益はコストを下げた方が享受すべきだと思うのです。コストが下げられたのだから、安く売れなんて言うのは横暴です。「自分を安売りするために知恵を絞れ」ってそんなことしないでしょ普通。日本ではそれが横行していそうで怖いのです。「安くしないと売れない」のではなく「高くても買う」ような商品、サービスを考えるべきです。
押しつけは良くないのだろうか(P.182)
突然の異動の命が下りた時、フォローしろとのことでした…。自分が納得のいくような職場に行きつくには自分でどのように働きたいかを考えることが必要だと思っています。そんなこと言っておきながら、まだ自分の中に、明確なものは決まっていないのですが。結局は自分の中で腹落ちして、次の一歩を踏み出せるかだと思うのですね。他人行儀な世の中で、終身雇用という日本人的な強みを発揮できる環境を捨て去った今、「経理に行って知見が広まるぞ」なんて言ったところで、意味があるとは思えないのです。もちろん、私ならそこで得られるものを考えて、とりあえず働いてみようかと思いますがね。そんな白々しいこと言われた日には、その職場への忠誠は地に落ちるのでしょう。あるいは、地の底まで落ちるのかもしれませんが…。
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ほめたのか、けなしたのかで言うと、酷評に近いものでしたが、読み物としては笑わせてもらいました。視点を変えれば、このように考えて話をする人もいるのかと、一つのペルソナを獲得することができたのかと思います。始めに「韻を踏んでリズムよく!」と言ったはいいものの、全然踏めてないことに気が付きましたが後の祭り。ラップの勉強でもしてみようかしら(笑)。